今回は、「大企業サラリーマンの英語レベル」について述べたいと思います。
一般的に「大企業社員=グローバルに活躍」というイメージをお持ちだと思います。
実際に、国内だけでなく世界に対して仕事をしている企業がほとんどです。
メーカーであれば、「売り上げの半分以上が国外」、「生産のほとんどが国外」、「材料・部品の調達も海外現地」だというのが当たり前の状況になっているのが2020年現在です。
そして、この傾向はますます加速します。
こんな状況であるにも関わらず、日系の大手企業に務めるサラリーマンの英語力はというと、お世辞にも優れているとは言えません。
さて、本題に入っていきます。
ちなみに、ここでの大企業というのは私の務めている企業のことです。
詳しくはこちらの記事で述べていますのでチェックしてみてください。
大企業サラリーマンの英語レベルとは【これが日系大企業の事実です】
大企業サラリーマンの英語力は一般的に「とてつもなく低い」です。
しかし、英語力を必要だと思っている社員がほとんどです。
実際に業務で必要な場面が多いですからね。
また、上司・会社が言うのでしょうがないと思いますが。
こんな状況でも「英語力が低い」のです。
その理由は、以下の通りです。
- 「英語力=TOEIC」だと思っている社員が多い
- TOEICのスコアすら400点に満たない社員がいる
- 英語の学習方法すら分からない社員が多い
- 外国人恐怖症(英語恐怖症)の人間が8割以上
順番に解説します。
「英語力=TOEIC」だと思っている社員が多い
以前の記事でも述べましたが、日本ではほとんどの場合「TOEIC高得点=英語ができる」と見なされます。
大企業にどんな人間が多いのかというと、
- いわゆる、日本の成功ルートというレールの上を歩いていきた・歩かされてきた
- 学校での勉強を熱心に頑張ってきた
- 真面目に学校教育を頑張ってきたにも関わらず、英語が話せないというコンプレックスを抱えている
- 学校教育を頑張ってきた人間を好む(自分の経験した努力を共有できるから)
このような感じです。
この人たちが社内での英語教育・英語レベルを決めるにあたり、どの様な指標を用いると思いますか?
そうです、ここで登場するのがTOEICです。
理由は簡単です。
- いわゆる、日本の成功ルートというレールの上を歩いていきた・歩かされてきた
- 学校での勉強を熱心に頑張ってきた
- 真面目に学校教育を頑張ってきたにも関わらず、英語が話せないというコンプレックスを抱えている
- 学校教育を頑張ってきた人間を好む(自分の経験した努力を共有できるから)
このような人たちが比較的、いい成績を収められるからです。
つまり、自分自身の保身のためです。
「文法や単語などの地道な努力をせずに、その場のノリで英語を話されたたまったものじゃない」って思うのです。
実際に弊社でも、就職活動における評価材料、社内での昇進基準、海外出向時の必要要件など、多岐に渡ってTOEICの点数を要求しています。
それは、「TOEIC=英語力」だと思い込んでいるからです。
これは、英語の本質を理解できていない証拠ですし、TOEICができるからといってビジネスで使う英語はできません。
TOEICのスコアすら400点に満たない社員がいる
大企業では、TOEICの点数が400点にも達しない人間が少なからずいます。
もちろん、彼ら・彼女らは有名大学を出身です。
それでは、なぜこのようなことがありえるのでしょうか?
理由は以下の通りです。
- 大学受験を必要最低限の英語学習で突破し、大学時代には全くもって英語学習をしてこなかったから
- 会社の同期の中にも自信を持って「TOEICの点数が400点の俺って尖ってね?」と間違ったカッコ良さを信じているから
- 英語コミュニケーションなんて5年もすれば、同時通訳アプリで実現すると信じているから
しかし、勉強ができないだけではただの落ちこぼれですが、しっかりと大企業に就職しています。
彼らに共通しているのは、勢い・行動力が備わっている点です。
そして、英語力は全くないし、勉強は全然できないけど、行動力・影響力のある人間は出世するという事実もあります。
大企業では、
- 「周囲の人間に働き変えるのが得意」「面白くない業務でも楽しそうにこなす」など元気な人間を上司は気に入るから
- 日系企業では未だにコネクションが重要視されているから
- 大企業というのは、長年培ってきた技術やノウハウの塊だから、独自性よりも仕組みで勝負するから
なので、「上司の指示に正直に従って、楽しそうに業務をこなす。その業務も仕組みやノウハウを利用すればこなすことができるので知識は要らないというのが事実です。
実際に、私の業務もマネージメントばかりで、研究開発の現場で手を動かしているのは子会社・グループ会社の方々です。
結論:流体力学や古典力学などの学術知識は必要でなく、何でも率直に頑張れる人間が大企業では活躍できるから、英語力がなくてもOKなのです。
英語の学習方法を分からない社員が多い
これは本当に大きな問題です。
日本の英語教育を信じて、努力してきた人間が大企業には多数在籍しています。
今まで自分たちが時間をかけてやってきたことを否定したくないのが人間の特性であることは自明です。
つまり、社会人になっても、学校で勉強してきたような英語の学習方法を用いているのです。
具体的にはインプット学習です。
- 単語・文法を学び、記憶するためにノートに書く。
- そして、いつしか書くことが目的となってしまっている。
- 「今日は英単語100個を10回ずつ書いたから満足」
これでは成長しません。
例えば単語学習は、
- 目で追い、声に出して発音をする
- それを早いペースで繰り返すことです。
これこそが単語学習の本質です。
書き続けるよりも、高い効率で記憶することができますし、同時に口からも発しやすくなります。
インプットとアウトプットのバランスを間違っているのです。
その事実に気づいていない社員が大勢います。
外国人恐怖症(英語恐怖症)の人間が8割以上
これは大企業の人間に特に当てはまることです。
テストで高得点を常に獲得してきたため、何事においても完璧な状態でなければ、トライしようとしないのです。
しかし、語学というのは、インプットだけでなく、実際に人と話さないと身に付けることは不可能です。
自分の欠陥している能力を晒して、恥ずかしい思いや辛い気持ちになりたくないのです。
いわゆるプライドが高いということです。
有名大学を卒業して、一流企業に勤め、プライドの塊みたいな世界で働いていると、そうなるのもしょうがないのでしょう。
しかし、このような姿勢が外国人恐怖症へと繋がってしまうのです。
実際に私のグループにもあまり日本語を話せない外国人が在籍しています。
彼女と話しているのは、英語が得意な社員か英語が苦手だけどプライドが高くないイジられ役の社員のいずれかです。
そして、下手な英語を話している人を見ると「文法間違っているよ」とか細かいことを気にしています。
話しかけられても、「I can't speak English」といって逃げます。
「いや、英語話してますやん!!」ってなるのが普通ですよね。
これが新卒一斉採用・一斉教育・一斉配属の闇です
日系企業の新卒採用は、どれほど能力があっても「ポテンシャル採用」です。
「ポテンシャル採用」とは、「入社後に活躍できる可能性を秘めている人間を採用する」という意味です。
例)
大学で情報工学の研究をしていて、プログラミング大会などで入賞経験があっても、車載用バッテリー開発部で働いているような友人がいる
大学院で半導体研究をして、国際学会発表や論文執筆などの経験があっても、白物家電の洗濯機を作っている友人がいる
よく考えれば、2、3年真面目に研究していたとしても、就職してからのキャリアは何十年も続きます。
そのため、企業の定める基準で適性があると判断すれば、新卒採用者はその分野で働き、教育されて戦士になるということです。
つまり、ポテンシャル採用による考え方の違いは以下のようになります。
【就活時】
面接官「会社でどのように働きたいか?自分のどのような能力を活かしたいか?」などと訪ねてくる
志願者「内定もらったら、やりたいことできるやーん!最高かも!」
【入社後】
会社側:「大学で学んだことは、せいぜい二年間でしょ?大企業では、何十年も働くのが当たり前だよ。やりたくないことでも頑張ってね!」
入社側:「あれ、こんなはずでは…。教育ばかりで辛いな。やる気が出ないし、成長もできそうにないな。」
結局、どんな能力を持っているのかなんて関係ないのです。
また、就職後に待っている一斉教育も同じようなものです。
私も期待はしていませんでしたが、実際には予想以上にヒドイものでした。
以下、新卒一斉教育の概要です。
何百人もが一度に大ホールに集められて、中学生のようなルールを教え込まれる
これまでの人生で培ってきた能力を伸ばすというよりも、均一化される
保守的な考え方を教え込まれ、社会への貢献を意識させられる
パイプ椅子に長時間座っているせいで、運動不足や腰痛のお土産まで与えられる
このような集合研修を1ヶ月ほど経験しました。
本当に地獄でした。
スーツで、息苦しい空間で、ためにならない話を聞くことを想像してみてください?
脳みそを使わなくても給料がもらえるというポジティブな考え方をできる人には最高の環境かもしれませんが…。
そして、角が丸くなったところで実際に業務を行う職場に配属される。
ちなみに、集合研修で学んだことは、世間話の役に立つだけで、実務にはほとんど役立たなかったです。
英語力を活かして働きたいなら【海外で働けるという最高のチャンスです】
ここまで述べてきた通り、「突出した能力のある人間が日本でサラリーマンをすると人生がハードモードになります」
大卒・院卒でも初任給は21~25万程度で、得意な能力を伸ばすこともできないからです。
これまでは、そのような待遇でも我慢していれば、10年ごには1000万プレイヤーになって、社会的地位を得て、一生安泰だったかもしれません。
しかし、今は違います。
我慢してサラリーマンをしていても、報われない可能性が高いのです。
そこで、オススメするのが海外で働くということです。
理由は以下の通りです。
英語力+スペシャルな能力を活かして、高給取りと地位を獲得したいなら、
→先進国でバリバリのキャリアを考えてみるべきです。
英語力を活かして、楽しく働きたいなら、
→東南アジア諸国でゆるーく働くべきです。
まとめ
ここまで、「大企業の英語力は低い」と「その理由」を述べてきました。
「これは、大企業の人間を否定しているのではなく、必要ないために英語力が伸びないのだということです。」
実際に、私自身も大企業に勤めており、英語学習の目的は会社で活躍するためではありません。
「好きな映画を英語のまま観ること」や「海外小説を英語のまま観ること」、「現地の人々と直接触れ合うこと」などです。
すでにどれも達成済みです。
大企業に入る前に達成できてよかったです。
ここまで読んでいただきありがとうござました。