今回は「大企業の仕事が楽である理由」について述べたいと思います。
大企業の仕事って聞くと以下のように連想する人が多いと思います。
私も学生時代はそうでした。
「頭の良い人がバリバリ知力を活かして働いているんだろうな?」
「強いリーダシップを持ってる人がチームを率いているんだろうな?」
「分野ごとにスペシャリストがいて、その人に聞けば何でもわかるんだろうな?」
しかし、現実は違いました。
・誰でもできる仕事がほとんど(むしろ誰がやっても同じようにできる仕組み化がなされている)
・誰かが抜けたとしても代わりはすぐに見つかる
・大学の入門クラスで使うような〇〇入門という教科書を使って学習することもしばしば
これが大企業で働いてみて感じたことです。
やはり、安定的に成果をあげる必要があるのでしょうがないのでしょう。
この記事の信頼性および読むメリット
私は以下のような大企業で勤務する技術系総合職のサラリーマンです。
・日本企業の時価総額TOP10に入っている企業
・給料は新卒1年目で日本の年収中央値(約450万)を超える見込み(2020年2月17日現在)
・大学の友人や地元の友達が羨む企業(世間一般的に優良企業と見なされている)
この記事を読めば、以下の質問に対する回答が得られます。
・大企業の仕事が楽である理由は?
・大企業の看板が無くなった時に活躍できるサラリーマンはいるか?
・大企業勤務という看板はそれほど捨てにくいのか?
それでは本題に入ります。
大企業の仕事が楽な理由【人間ではなくビジネスモデルが優秀な件】
「大企業の仕事は楽です」これは紛れも無い事実です。
それは「ビジネスモデルが優秀だから」です。
ビジネスモデルとは簡単に言えば、「事業が収益を上げるための仕組みのこと」です。「誰に対して、何をして、どのように利益をあげるのか」という根本的なことです。
簡単に言えば、「誰がどのように働いても、業務の仕組み化ができているので時間さえ投下すれば成果が出る」ということです。
それは弊社でも例外ではありません。
体感的に業務は簡単ですし、身体的には楽です。
その理由は以下の通りです。
・業務が仕組み化されており、それに従って作業するだけで成果が出るから。
・業務的なミスであれば、その仕組みが悪いと見なされるから。
・打ち合わせが多く、その場に存在するだけで働いていることになるから。
・職場環境(デスク周り、部屋、トイレ、食堂)が綺麗で、物質的に恵まれているから。
順に解説します。
大企業の業務は仕組み化が全て【労働はほとんど作業です】
大企業の業務は一部の人間を除いて、ほとんど仕組み化されています。
新卒入社の方は安心してください、確実に仕組み化された業務を担当することになります。
具体例を挙げます。
私はとある部品の設計開発業務を担当している。
- 設計といっても1から部品を作るわけじゃない(この時点でハードル激下がり)
- 過去の部品を「もっと安く、もっと小さく」というのが目標(低コスト化・小型化)
- 適切な形状をシミュレーションで見つけ、コストを指示して外注する(委託先が実際に作って、評価する)
- 試作品と評価結果を上司に報告する(発表資料を作って、練習あるのみ)
- 期限ギリギリまではNGをもらう(なかなかOKもらえないけど、大丈夫)
- 期限が来たら、他の部品と組み合わせ、全体で評価する(これはある程度偉いさんが主導でやってくれる)
- 期限ギリギリまでは常にアップデート(ここは少々大変。委託先との連携、日程管理など)
- 以下、この繰り返し
この業務形態が何年も繰り返し、行われてきています。
そして、利益をあげています。
「新人だから、これくらいの小さな部品から担当するか」
「お前は何年も頑張ってきたから、重要度の高い部品任せるわ」
「お、そんな難しいこともやり遂げたか。来年から昇格や」
こんなことの繰り返しです。
重要なことは、「ほとんどの大企業サラリーマンがこの仕組み化に満足しているということ」です。
単純作業の繰り返しで業務を遂行することができ、成果に関わらず安定的にある程度の収入が得られ、そして大企業勤務というステータスを手にしているからです。
世間的には絵に描いたような人生を歩んでいると見なされますからね。
そして、私はこうした環境に満足できない少数派の人間です。
失敗してもほとんど怒られない【悪いの仕組みであるという文化】
ミスをしても怒られることはほとんどありません。
もちろん、寝坊や機密違反など社会人としても常識を逸しているとNGですが。
基本的には「失敗するような仕組みが悪い」と見なされるのです。
例)会議室の予約が重なっていて、打ち合わせができない
→ 悪いのは、予約が重なるようなシステムであり、当人は悪くない。
失敗した時は、「反省して、人のせいにしない」ということだけ気をつければ、怒られる心配はありません。
特に最近は「チャレンジ」という風潮の世の中なので、思いっきりやって失敗したら褒められるくらいです。
逆に、理不尽でも自分が悪かったという対応を取らざるを得ない時もありますが、大企業でもは必要なスキルです。
「良い大学を出て、大企業に入り、出世する」このレール上にいる限りはしょうがないことだと思います。
レールに乗っていることが居心地いいのであれば最高の楽園。そうでないなら、地獄かもしれません。
打ち合わせが多く、「存在すること=労働」が成り立つ
大企業は圧倒的に打ち合わせが多いです。
方針や仕組み、試作品の評価結果などを議論することが多いからです。
打ち合わせでは、何も話さない人も多数存在します。
彼らが何をしているのかというと、「聞いてるフリをして頷き、メモをとる」「求められた時だけ、当たり障りのない意見を言う」「寝ている」などです。
実際のところ、一部の優秀な人間(社内的に)が話し合いをして、順番にチェックするというのが打ち合わせのメインディッシュなので、それでOKなようです。
つまり、多くの人にとっては「打ち合わせ=休憩」のような業務中のオアシスということです。
ちなみに新人の私は議事録を取るという任務があるため、常にタイピングしています。
もし、そうでなければ「存在するだけの人間」になってしまうかもしれません。
職場環境が綺麗で物質的に恵まれている【好環境はストレス低減効果あり】
汚いトイレって、それだけで嫌な気持ちになりますよね?
食堂のご飯が美味しくなければ、毎日コンビニ弁当になりますよね?
暑い(寒い)部屋だと居るだけで疲れますよね?
大企業ではこうしたことに対してストレスはほとんどありません。
少なくとも私は感じたことはありません。
職場環境が物質的に(人間的にはどうかわかりませんが)恵まれているというのは、間接的に仕事が楽になるのです。
職場にいる時は、仕事だけに集中することができますからね。
ただ、大勢の人間が同じ時間に同じ行動を取るので正直なところ色々と効率悪いです。
通勤ラッシュ、衝動で並ぶこと、エレベータの待ち時間。
ノマドワーカー、フリーランスの方には無縁の世界です。
ちなみに、私は集団で行動するよりも家で1人で作業する方が効率いいですし、コンビニ弁当でも満足できるタイプの人間です。
大企業では成長できる可能性が低い件【楽+予想外】
これまで述べてきた通り、大企業の仕事は楽です。
それでは「楽な仕事をしていたら成長できないか?」というと、本質的にはそうでないと思います。
「楽しくYouTubeで稼いでいる人」「楽しくブログで稼ぐ人」「楽しくイラストを書いて稼ぐ人」
しかし、大企業の楽な仕事では成長できる可能性は低いです。
この理由について簡単に述べていきます。
*ちなみに成長というのは、「人間としてスキルアップできるかどうか」、「他社的に見ても欲しい人材であるかどうか」という観点でのことです。
仕組み化された仕事を続けても社外価値は上がらないから【社内専用スキルばかりです】
「仕組み化=誰がやっても同じ結果がでる」これで得するのは会社。
忘れてはならないのは、この仕組みを使う人は損をしているということです。
なぜなら、何も考えずにマニュアル通りに手を動かすだけで、脳みそをほとんど使わないからです。
さらに、その仕組みで学べることは社内でしか通用しないことが多いです。
試作品の発注システム、〇〇部用のデータのまとめ方、機密管理対策のツール。
汎用的なスキルは一部の優秀な人間だけで事足りるからです。
社内でしか通用しないスキルを身に着けることによって「転職を防ぎ、いざとなったらリストラをする」というネガティブな考え方もできます。
やはり、スキルアップは自宅にてコツコツやるしかないと思います。
社外価値を高めたい人にはモチベが上がらないから【やりたいことに取り組めない】
「社外価値を高める=汎用的なスキルを身に付ける」これを実現するために必要なことはただ1つです。
それは、モチベーションです。
大企業では「私は〇〇がやりたくで入社しました」と言っても、それを担当できる可能性はかなり低いです。
一部のスーパー専門性を持っている人間だけです(博士過程修了者、転職者など)。
新卒の場合は、ほぼランダムに配属され、業務を任されることがほとんどです。
そこで、壁にぶつかるのです。
「こんなことやるために入社したんじゃないのに。」
その場合、惰性で仕事をやることになると思います。
そして、モチベーションは土日、給料日、家族など仕事以外のことに変わっていくのです。
本当に好きなことななら、朝起きてから寝るまでずっとそのことを考えられるはずです。
「あ、こんなことをブログに書いたら面白いかな?」「あ、あの人の動画はこんな工夫があったんだ。」「へー、そうやってマネタイズしているのか」
好きかどうか(モチベがあるかどうか)で圧倒的に思考時間が異なります。
つまり、成長速度も段違いです。
頑張って働いても、リターンは変わらないから【残業の多い人ほど高収入】
大企業では「成果報酬」というのはボーナスに数%の変化が生じる程度です。
結局、「基本給+手当」という固定給に「残業代」がどれくらい加わるかで給料が決定します。
この中で日々変化するのは、残業代だけです。
他は昇給や特許、海外駐在などしかありません。
つまり、どれだけ定時後に働くかで給料が決定されるのです。
「どれだけ効率よく定時内に業務を終わらしたとしても、ダラダラと残業している人間の方が高給取り」というおかしな構図が成り立ってしまいます。
これでは、仕事を頑張る気力が薄れてしまいます。
仕事を早く終わらせるモチベーションになるのは、「帰って副業する」くらいしかないでしょう。
まとめ
今回は「大企業の仕事は楽」というテーマで述べてきました。
大企業の仕事が楽な理由は「ビジネスモデルが優秀だから」です。
具体的な内容としても以下のことについて述べてきました。
- 業務が仕組み化されており、それに従って作業するだけで成果が出るから。
- 業務的なミスであれば、その仕組みが悪いと見なされるから。
- 打ち合わせが多く、その場に存在するだけで働いていることになるから。
- 職場環境(デスク周り、部屋、トイレ、食堂)が綺麗で、物質的に恵まれているから。
そして、このような「楽な大企業の仕事」では成長できないことについても述べました。
- 仕組み化された仕事を続けても社外価値は上がらない
- 社外価値を高めたい人にはモチベーションがない
- 頑張って働いてもリターンは変わらない
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。